Governor「この2ヶ月間、1日9時間、週6日で練習してきた」ストリーマーからプロに移行した経緯を語る

韓国では現在、Masters Madridへの出場をかけたVCT PACIFIC 2024 KICK-OFFが開催中。グループステージ1回戦でTeam Secretに勝利したTalon Esportsですが、同チームでデュエリストを務めるGovernorが今大会に向けた意気込みをONE Esportsのインタビューで語りました。

Talon Esportsの一員として北米からアジアに活動拠点を移しましたが、現在の気分はいかがでしょうか？

良い気分です。文化の違いという点では、ライフスタイルは大きく変わりますね。私は韓国系アメリカ人ですが、韓国語が流暢に話せるわけではありません。そのため、まだ自分自身が外国人のように感じます。それ以外は非常に良い気分です。

アメリカらから韓国に移住して驚いたことはありますか？

すべてが小さくなったような気がします。私は背が高い方なのですが、すべてが地面に近いような気がします。アパートも少し狭いと感じましたが、ここでは一般的な広さの様です。それが少し驚きでした。

K-POPは聴きますか？

韓国に引っ越してきてから聞き始めました。まだハマったわけではありませんが、最近はNewJeansをよく聞いています。

韓国での生活はいかがですか？

韓国には家族や親戚が多くいるので、久々に会ったり、話したりしました。韓国に移住してから少し休みがあったため、いとこやおばあちゃんに会いに行きました。韓国語の勉強にもなりますし、そのおかげで両親とのコミュニケーションも上手く取れるようになりました。非常に良い経験となっています。

韓国は焼き肉が有名ですが、食べましたか？

トライアルで最初に韓国に来たときから1ヵ月は毎日焼き肉を食べていました。オフィスのすぐ下に24時間営業の焼き肉屋があったため、よく通っていました。練習が終わるのも遅い時間だったため、よくお世話になりました。

焼肉で好きなメニューは何ですか？

カルビです。メニューにあれば、絶対に注文します。

ブートキャンプはいかがですか？

韓国に到着した後、すぐにメンバー全員と会って話す機会がありました。オフラインの練習は直接会って話すことができるため、非常に効率が良いと思います。今のオフィスには3週間ほどいますが、この3週間だけでオンラインで練習を行っていた最初の1ヵ月より4倍ほどの速度で成長していると思います。

普段の1日を教えてください。

韓国に来てから生活は大きく変わりました。朝10時に起きて、シャワーを浴びて、スキンケアをする。健康的な習慣となりました。以前はしていませんでしたが、韓国にいる人はみんなモデルみたいなんです。チームメイトも皆スキンケアをしているので、私も肌を気にするようになりました。

そしてオフィスに向かいます。アパートから歩いて10分くらいでしょうか。11時くらいにオフィスに入り、練習は13時からスタートします。食事とウォームアップは事前に1時間くらいで済ませておきます。そして9時間練習を行います。

22時に練習が終わり、そこからご飯を食べてジムに行き、家に帰って1～2時間ほど配信をします。家に帰るのはだいたい深夜の1時～2時くらいでしょうか。そして寝る前にスキンケアをしてからベッドに入ります。休みは日曜日だけなので、1週間のうち6日はそういった生活です。

スキンケアには何を使っていますか？

すべて韓国語の商品です。クレンジング、化粧水、美容液、アイクリーム、乳液の順に使います。朝のスキンケアでは日焼け止めも塗ります。詳しくはチームメイトのCrwsに聞いてみてください。彼に教えてもらったものと、同じものを使っています。3週間続けていますが、少しの変化でも嬉しくなりますね。

北米ではTier 2（Challengers）で戦っていましたが、パシフィックに移行してみていかがですか？

プレイスタイルはかなり変わりました。アジアは撃ち合いが多いので、銃を構えることが多くなったと思います。

また、ここにきて最初のスクリムでイライラしたことを覚えています。変なプレイが多いんですよね。アメリカのトップチームに対してはそんなプレイは通用しません。もしそんなことをしたら、相手チームに撃ち殺されて「何やってんだよ！」とチャットで怒られます。

以前は馬鹿げたプレイばかりで怒ってばかりでしたが、今ではこのプレイスタイルはここの地域の特徴だと気付きました。だから今は怒りませんし、適応することを心がけています。

もう一つの変化は、フレンドがいなくなったことです。北米のアカウントでは100人以上のフレンドがいたため、毎日デュオを組んでランクをプレイしていました。今ではチームメイト以外フレンドがいないため、別世界から来た人のように感じます。

ゲームを始めたきっかけを教えてください。

11歳のころからゲームをしています。最初にプレイしたゲームはマインクラフトでした。最初にプレイしたゲームがマインクラフトという人は多いと思います。そして12歳のときに初めてFPSを始めました。Counter Strikeです。

そこが全ての始まりでした。毎日ひたすらプレイし続けました。どんどん上達していきました。そして2020年、Braxの配信を見て、VALORANTのベータキーを手に入れました。そこからハマり、1日12時間プレイしていたと思います。

ストリーマーからプロ選手として活躍するまでの経緯を教えてください。

ランクでストリーマーとマッチングしてキルを取ることが当時の私の楽しみでした。彼らのアーカイブと私のフラグムービーを編集して、YouTubeに投稿していました。それがクリエイターとしての始まりです。当時はプロを目指すなど全く考えていませんでした。

そしてYouTubeの登録者数が4万人くらいになったころ、配信を始めました。当初の視聴者数は80人くらいでしたが、翌月には300人、その翌月には500人になりました。そしてさらに視聴者は伸び、1年後には800人ほどになっていました。ちょうどそのとき、競技シーンへの意欲が湧いてきました。

当時はストリーマーとしてBuilt By Gamersと契約を結んでいましたが、チームはフリーエージェントとして大会に出場してくれることを許可してくれました。それで、Squirtle Squad（ゼニガメ団）を立ち上げました。当時のメンバーは今もチームメイトのbanと、Harmful、Psalm、Jonasの4人です。

そして私たちはアマチュアチームながら、賞金5,000ドル（約75万円）の大会で優勝などを収め、プロチームのComplexityからオファーを頂きました。私はBuilt By Gamersと契約していたため、少し問題がありましたが、彼らは移籍金を払う形で私たちと契約してくれました。

プロを目指す人へアドバイスです。プロを目指す過程で配信や動画制作は練習の邪魔になると思うかもしれません。しかし、プロになって自分のブランドを確立させたいのであれば、絶対にやる価値はあります。

ピザにパイナップルは合いますか？

母がパイナップルピザが好きなため、別に乗っていても問題はありません。しかし、全部に乗せるのは駄目です。ハーフサイズ分のみにしてください。ピザにパイナップルは合いません。

一番好きなデュエリストは何ですか？

ジェットです。しかし、今はレイズにハマっています。今はレイズがメタですし、新鮮な気分でプレイできます。

好きなマップと嫌いなマップを教えてください。

一番好きなマップはフラクチャーです。嫌いな人が多いマップだと思いますが、ゼニガメ団時代に一番調子が良かったマップがフラクチャーでした。ランクでも一番好きなマップです。

ランク戦で一番嫌いなマップはサンセットです。未だにキルの取り方が分かりません。とくにアジアサーバーのサンセットはAかBにラッシュするだけなので、本当に退屈です。

現在のマッププールについてどう思いますか？

フラクチャーがないため、今のマッププールはあまり好きではありません。一番嫌いなサンセットは入っていますし、好きな2つのマップ（フラクチャーとヘイヴン）もないため、微妙です。

あなたが思う世界最高のデュエリストを教えてください。

最高のデュエリストは、ジェット、ネオン、レイズ、ヨルのすべてを完璧にプレイできる選手である必要があります。しかし、全部をトップレベルでプレイできる選手はいないと思います。

1人挙げるならPaper Rexのf0rsakeNでしょうか。彼はレイズ、ジェット、ヨルも得意です。恐らく世界最高のデュエリストは彼でしょう。ただ、撃ち合いの面では彼はsomething、aspasの中間くらいだと思います。

VCT PACIFIC 2024に向けどのような準備を行ってきましたか？

1日のスケジュールに関しては、先ほど話した通りです。私たちはこの2ヶ月間、1日9時間、週6日で練習してきました。一生懸命練習してきました。他のチームも同じくらい頑張ってきたと思いますが、一番効率よく練習してきたのは私たちだと思います。

ただ何も考えずに漠然と練習してきたわけではありません。練習以外でも、ゲームのことについて話し合ってきました。個人の欠点やチームの弱点を改善するために努力してきました。この限られた時間を効率よく活用できたと思います。準備はできています。

もしプロゲーマーでなかったら、何を目指してましたか？

歯医者になろうと思っていましたが、今は経営学部を目指すでしょう。ずっとこの仕事をするつもりはありませんが、ひとまずはプロという仕事を楽しみながら、お金を稼ぎたいです。そして、その後に大学に入り、貯金したお金を有効活用しながら、さらに稼ぎたいです。

今後何をしていきたいかまだ分かりませんが、この仕事がずっと続くものではないと思っていますので、貯金したお金は賢く使っていこうと思います。

アジアのファンに向けて一言お願いいたします。

アジアのファンから見た私はただの外国人選手といった感じかもしれませんが、タイの皆さんのために全力を尽くします。応援よろしくお願いいたします。