VALORANTのトップシーンで活躍するTSM、FunPlus Phoenix(FPX)のコーチを務めるTailored、d00mbr0sのインタビューがGGReconより公開されています。

インタビューでは優れたコーチになるための意識、トップチームとして競技シーンを走る続ける方法、コーチとしての時間の使い方、コーチの業務について答えています。以下、インタビューより一部抜粋したコメントを引用します。インタビュー全文は原文からご確認ください。


ーd00mbr0s (FunPlus Phoenix)

優れたコーチになるためにはチームを作るための目標、ビジョンをしっかりと持つことが重要だと思います。FABRIKEN*でも同様に選手、コーチが同じ価値観、同じ目標を持ったチームを作りたいと思っていました。これはコーチング、チーム改革を行う前に見落としがちな一つです。

*d00mbr0sがFPX加入前にコーチとして在籍したスウェーデンのアマチュアチーム

誰にでも言える事だと思いますが、良いコーチとはゲームについて最も知識を持つ必要はありません。コーチとは誰々に何をすべきと指示を出すことを中心とするわけではありません。むしろ、学ぶ方法を教えているようなもので、彼らが彼ら自身で成長できるようにチーム周りの構造を促進するようなものです。

特にVALORANTではゲーム自体がまだ初期段階であるため、ソーヴァをメインで使う選手にソーヴァのプレイ方法を教えることはコーチが行う最重要項目ではないと思います。

コーチとして目標を持ち、その目標に到達するための計画があり、その計画の中にゴールがあります。そのため、定めたタスクをこなし、選手と共に目標を1つずつクリアしていきます。コーチは天才である必要は無く、チームを作り上げる方法、彼らをベストの状態で送り出せる方法を知る必要があるだけです。


ーTailored (TSM)

私達の最大の課題は北米での競技シーンが激化してきている事かもしれません。ベータ版、リリース初期の数ヶ月はトップを維持する事はそれほど難しいことではありませんでしたが、今はメタの先を行かなければいけません。

Counter StrikeではLiquid、Astralisなどのトップチームから作戦を奪うことが出来ましたが、現時点で私達が参考にしているチームはそれほど多くありません。トップにいると、私達は盗まれる側になります。他のチームの分析にもあまり時間はさけません。そのため、私は多くのデモを見て、メタの先を行くことに常に時間を費やしています。

現在の北米には多くの強力なチーム、優秀な選手がいるため、今ではトップを維持する事が課題となっています。


ーd00mbr0s (FunPlus Phoenix)

コーチ、チームスタッフは練習が終わった後、自分の時間が始まります。そのため、毎日のスケジュールには2~3時間ほどしか自分の時間がありません。コーチとは時に多くの責任を負うこともあるため、頭の中にあるすべての考えを整理し、その中でストレスを管理する事はとても難しいです。

頭の中は常に5~10のアイデアがあるかもしれません。しかし、10この違いアイデアを持っていても、それをすべて実行することはできないため、1つ、2つのことに集中して鳥んだ方が効率は良いです。


ーTailored (TSM)

私はスクリムを行うDiscordサーバーを友人、Drone*運営しています。そのサーバーは招待制でスクリムをしたいチームが掲示板に投稿するシステムとなっています。

*TSMのメンバーの1人

コーチである私はスクリムの予定を立て、スケジュールを管理し、大会への参加登録も行います。大会賞金、賞金の選手への配分なども管理しており、その他にも作戦を考えるなどの業務も行っています。

練習では目標を立て、試合中は常にマイクでコミュニケーションを取るようにしています。そのため、多くの業務をこなしていますが、将来的にオフラインが増えた場合、業務自体も増え私への責任の重さも減るかもしれません。


ーTailored (TSM)

コーチは組織、チームの関係に深く依存していると思います。例えば、Envy CS:GO部門で*は私はラインナップの決定権は殆どありませんでした。自分の意見も言うことが出来ましたが、それが重要視されることはありませんでした。

*Tailoredは2018年~2019年にEnvy CS:GO部門でマネージャー/アナリストを務めていた。

Envyでは主に選手1人を介してのコミュニケーションであり、コーチングスタッフを介してといった感じではありませんでした。条件によっては良いかもしれませんが、そのような関係はチームと摩擦を引き起こす可能性があります。

しかし、(サッカー、野球などの)伝統的なスポーツでもそういうわけではありません。最終的な決定権を持つのはコーチ、GMかそれ以外です。今回のHenryGのCloud9へのGM就任*のようにeスポーツでもそのようなケースが増えてくると思います。

*今年9月、キャスターとして活動したHenryGがCloud9 CS:GO部門のゼネラルマネージャーに就任、チームに大幅な改革を実施した。


ーTailored (TSM)

ヴィンス・ロンバルディ*の言葉の一つに「The man on top of the mountain didn't fall there.」があります。この言葉は頂上までのハードワークと長い時間、忍耐力を意味しますが、更に多くの運も必要です。

*NFLの名コーチ

ヴィンス・ロンバルディが山を登る途中で熊に食べられなかっただけ運が良いなんて誰も言わないと思います。これには人脈が大きく関係しています。優秀そうなストリーマーを見つけてはそのプレイヤーとプレイしてみてください。あなたが才能を見極めるセンスがあると感じたら、根拠はなかろうとそのプレイヤーとプレイしてみるべきです。

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