北米を拠点に活動するeスポーツチーム「Version1」のVALORANT部門に所属するEffysのインタビューが、Nerd Street Gamersより公開されています。

20歳のTenZ、16歳のZekken、19歳のCryocellsなど、若い選手が多く活躍するVALORANTの競技シーンですが、2010年からCoutner Strike、CS:GOの競技シーンで活動するEffysは今年で30歳を迎えます。

昨年にはアイスランド・レイキャビクで開催されたMastersへ北米代表として出場を果たすなど、活躍を広げるEffys。現在進行中中のVALORANT Champions Tour 2022 North America Stage 1 Challengersでは、グループステージで5勝0敗と首位をキープしています。Nerd Street Gamersより公開された記事では、自身の人生を振り返ると共に、eスポーツにおける年齢の壁、今後の目標を語っています。以下、記事から一部抜粋した文章を引用しています。

「情熱を求めるか、現実を見るか」、数多くあるeスポーツのキャリアはこの単純な1つの質問に全てが詰め込まれています。主人公が困難を乗り越え目標を達成する、映画のような絵空事を妄想することは素晴らしいことですが、eスポーツ業界はそう簡単に上手く行きません。

年齢を重ねれば重ねるほど、その目標を追うことは厳しい道のりとなります。21歳を過ぎると、"プロ"を目指す人は大きく減少するでしょう。若い才能が続々と現れ、プロへの道を諦める人が多数です。

そんな中、Version1に所属する29歳のEffysは、早い段階から "現実を見てきた" 選手の1人です。彼は20代前半から週に25~30時間、ソフトウェアエンジニアとして働いていました。

「ゲームをプレイして生活をしたいとずっと思っていましたが、現実的に見て年齢が邪魔をしてきました。プロとして成功するのは、若くても本当に難しいことで、20代前半の当時の私にとって、手が届かないような存在でした。」

Effysは、Counter Strikeからeスポーツのキャリアをスタートさせます。CS:GOのMountain Dew Leagueでは、チーム内で最高のスコアを叩き出しても、練習してきた時間と努力が評価される機会はほぼ無いに等しい状況でした。

「自分の年齢が足かせになっていた当時、本当に最悪な気分でした。CS:GOをプレイしていた時は、ゲームは副業で、ソフトウェアエンジニアとしてのキャリアを積んでいくだろう、と考えていました。」

2020年、CS:GOからVALORANTへの移行

2020年6月にVALORANTがリリースされると、EffysはCS:GOからVALORANTへ移行します。CS:GOから共にプレイした仲間で結成したアマチュアチーム「FRENCH CANADIANS」に加入するまでは、競技シーンを目指すわけでもなく、ゲームを楽しむことを目的にプレイしていました。

しかし、ゲームにのめり込むにつれ、エンジニアの仕事時間を減らし、人生で初めてeスポーツを優先するような生活を送ります。当時の心境について、Effysはこう語ります。

「以前にはなかったチャンスがVALORANTには見えました。VALORANTなら上手くいく、そんな予感がしました。」

VALORANTのベータ版を始めて間もなく、Gen.GはVALORANTの競技シーン参入を発表し、2020年5月にEffysが在籍していた「FRENCH CANADIANS」と契約をしました。Effysにとって、人生初となる大手チームとの契約でした。

Effysは、Gen.Gと契約した瞬間を夢のような出来事だったと語ります。何年もの間、eスポーツは夢のような業界でしたが、遂に現実となりました。

そしてGen.Gは、T1 x Nerd Street Gamers Invitationalで優勝し、競技シーンの黎明期から北米トップチームの1つとしての地位を確立しました。

その後数ヵ月間、Effysはeスポーツで成功する自身の夢を実現すべく、何時間もかけ大会に向け準備をし、ソフトウェアエンジニアリングの仕事を心配することなく、大会に出場し続けました。

Gen.Gとの契約終了、CS:GO時代に経験した「年齢の壁」の再来

大手チームと契約したことで、何年もの努力の末に遂に成功を収めたEffys。しかし、夢物語は長く続きません。VALORNATの競技シーンが開幕して少し経つと、Gen.Gは大会で結果を残せない日々が続き、2020年10月にEffysはベンチへ移動し、同年11月には契約終了が発表されました。

当時、Effysは「eスポーツの夢はこんなにも短期間で終わるのか」と心配する気持ちが大きかったと語ります。

「Gen.Gと契約が終了した当時、私にとって辛い日々でした。この年齢になると、メンバーから外れるだけでキャリアが終わってしまうことが頻繁にあります。しかし、私のeスポーツのキャリアは『まだ始まったばかり』と自分に言い聞かせていました。」

しかし、当時28歳だった彼の心配は悔しくも的中します。リリースされたばかりだったVALORANTには若い才能溢れる選手が続々と姿を現し、CS:GO時代に経験した苦悩が再来しました。

Version1への加入、国際大会への出場

2020年、Gen.Gと契約終了した後はチームに所属せず活動を続けますが、翌年の2021年2月、Version1がVALORANT部門設立を発表し、初期メンバーとしてEffysと契約を結びました。

新たな所属先を見つけたことで不安を和らぎましたが、Version1の為にどうすればより良い選手になれるか、自分自身を再度見つめ直しました。すると、当時28歳という年齢でありながら、自分より年下のチームメイトを見て、自分はまだまだ勉強不足であることに気づきました。

「チームメイトに比べると、プロとしての経験はまだまだ浅いです。チーム最年長であっても、自我を捨て、限られた期間の中で、できる限りのことを学ばなければいけないと痛感しました。」

Version1は新設チームながら出場した大会で結果を残し、2021年5月にアイスランド・レイキャビクで開催されたVALORANT Champions Tour 2021 Stage 2 Mastersでは北米代表として出場するまで、大きく成長しました。

VALORANTの競技シーン初である国際大会への出場が決定した当時のことについて、Effys自身にとって決して忘れることができない経験だったとインタビュー出語ります。

「レイキャビクで開催された国際大会は、私のキャリアを主張するものであり、eスポーツ業界に参入したこの夢が現実であること、そしてeスポーツ業界で比較的高い年齢でありながら、まだ自分の天井が見えていないことを再確認する大会となりました。」

Version1はレイキャビクでは12チーム中5-6位の結果で終了し、結果として、年末に開催されたVALORANT Champions 2021への出場には届くことができず、2021年シーズンは終了します。

しかし、ジェットコースターのようなキャリアを経て、Effysは「Version1」という居場所を見つけました。そして2022年は、彼にとって再び逆境を乗り越え、結果を出すチャンスなのです。

eスポーツにおける年齢の壁、今後の目標

29歳でeスポーツの競技シーンで活躍する選手は、若手選手と比較して圧倒的に少ないですが、Effysにとって、今が新しい旅の始まりに過ぎません。

「夢、希望を失うような経験をしたことが無い選手や、社会人経験が無い選手は、自分がどれだけ幸運なのか気づいていません。」

「VALORANTの歴史に名を刻むという私のモチベーションは、こうした過去の経験から来ています。私は好きなことで生きていくために、2度目のチャンスを無駄にすることはありません。」

VALORANTの最年長選手の1人であるEffysは、年齢は単なる数字であり、年齢を重ねても技術は向上していくことを、今なお証明し続けています。そして、夢を実現させてくれたVersion1に、Effysは心から感謝していることをインタビューで語っています。

「Version1は、私の年齢に関わらず、チャンスを与えてくれました。他の人が見向きもしなかった私の可能性を見出し、より良い選手になるサポートをしてくれました。その恩返しとして、チームがより特別な存在になるよう選手としてサポートしていきたいと思います。」

2022年、Version1は好調な滑り出しを見せ、現在進行中中のVALORANT Champions Tour 2022 North America Stage 1 Challengersではグループステージ全勝と既にプレイオフ進出が決定しています。

彼にとっての次のステップは、2022年最初の国際大会で、北米代表として国際舞台に再び姿を見せることです。

6 コメント

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  1. 社会人には響きました
    がんばれV1

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  2. 20代後半に響くインタビューに感謝

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  3. vanity抜けて終わったかと思ってたけど、今のv1めちゃめちゃ強いな。何があった。

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    1. 最強IGLのZenderが入ったからだよ

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  4. zanderはマジでモク使いならNA No1だと思う

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