VALORANTにおける「9-3の呪い(9-3 Curse)」という言葉をご存知でしょうか。ラウンド差9-3と大きくリードを広げ折り返したに関わらず、試合に負けてしまうことを意味します。

昨年のVALORANT Champions Tour 2021 Stage 3頃から流行し始めた言葉で、昨年末にGambit EsportsがTeam Vikingsに対して3-9の絶望的な状況から勝利を収めたことで、世界中で広く使われる言葉になりました。

しかし、実際にその勝率は高いのでしょうか。北米のeスポーツチームDignitasは、その勝率を調査すべくVALORANT Champions Tour 2021で行われた全試合を分析。以下の3点に焦点を当て調査を行いました。

  • 「9-3」の発生回数
  • 「9-3」の勝率
  • 「9-3」の因果関係

「9-3」の発生回数

VALORANT Champions Tour 2021の全地域で行われた全試合から、9-3で折り返した試合は合計で212試合確認されました。ある地域に集中して発生していたわけではなく、全地域で満遍無く確認され、国際大会 (Masters、Champions) に関しては合計28試合が確認されています。

「9-3の呪い」という言葉が広く普及されていることから、その勝率は高いように思えましたが、結果は違いました。9-3の状況で逆転した試合は212試合中25試合で、勝率は僅か11.7%でした。

黄色が敗北した試合数、白が実際に勝利を収めた試合数

しかし、国際大会に焦点を当ててみると、ドイツ・ベルリンで開催されたMastersは2回、VALORANT Champions 2021は3回で、計5回、「9-3」の状況下で逆転勝利しています。よって、勝率は17.8%で、オンライン試合を含めた全試合と比較して6.1%高いことが確認できます。

「9-3」の勝率

次に勝率を見てみるとどうでしょうか。「9-3は呪われている」と言われているなら、「7-5」、「8-4」など別のラウンド差と比較して勝率が高いはずです。

しかし、また結果は違いました。VALORANT Champions 2021限定で調査すると、「8-4」折り返しは26.09%でラウンド差で負けているチームが勝利していました。また、下記グラフから見て分かるように、ラウンド差が少ないほど逆転勝利の可能性は高まります。

縦軸が逆転勝利した回数、横軸は取得されているラウンド数

つまり、取得できるラウンド数は多ければ多い方が有利です。「9-3」に調整することで逆転勝利しやすくなることはありません。

「9-3」の因果関係

結論から先に申し上げると、「9-3の呪い」に因果関係は存在しません。得意な陣営に移動した後、勝利した回数は25試合中20試合と80%でしたが、得意な陣営で勝率が上がることは「呪い」でも何でもなく、当たり前のことです。

つまり、「9-3の呪い」は「自己成就的予言 (期待した事例が本当に発生すること) 」である可能性が高いです。スポーツは精神状況で勝敗が左右される事例が多くありますが、VALORANTでも同じ事例が発生している可能性があります。

しかし、「9-3の呪い」という迷信が語り継がれている以上、ラウンドを折り返した際、ラウンド数を見ることで、選手たちの自信に繋がる事は事実です。自信が無いと、マップコントロールも上手くできず、小さなミスが連発することがあります。

いずれにせよ、数字は嘘をつきません。「9-3」というラウンド差は、逆転しやすいことを意味するのではなく、ただの数字です。しかし、良い事例だけ語り継がれることは当たり前の事なので、「9-3の呪い」のような迷信がコミュニティに定着することは避けられなかった運命なのでしょう。

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