SCARZやBLUE BEES、JiJieHaoでコーチを務めたロシア人コーチのFadezisが日本の競技シーンの現状や問題点について、VALO2ASIAのインタビューで語りました。以下、原文から一部抜粋したコメントを掲載しています。

Fadezisは2022年にCIS圏(ロシア・ウクライナなど)の大会に出場する中で、Global Esportsで現在プレイするKr1stalに出会いました。そこで彼を誘い、日本チームのBLUE BEESに加入しました。その後、Jemkinとの出会いもあり、2022年10月に加入したSCARZではアセンショントーナメント出場も経験しました。

「BLUE BEESではたった2週間で良い成果が出ました。オープン予選、クローズド予選を突破し、プレイオフでトップ6に入りました。SCARZ、CREST GAMING Zst、Sengoku Gamingに勝利し、ZETA DIVISIONとCrazy Raccoonにだけ敗北したのです。Kr1stalとJemkinのネット環境が悪くて東京サーバーに接続できない中でも、この成果でした。」

「(その後加入したSCARZでは)環境が整い、選手たちをロシアから日本に呼ぶことができ、通常のPINGで練習できるようになりました。BLUE BEES時代は言語の壁もありましたが、SCARZでは外国語に対応できる選手・スタッフがいたこともあり、意思疎通・連携・判断が迅速にできるチーム作りが可能となりました。その結果、効率的に意見交換ができ、成績にも繋がりました。」

「Kr1stalとJemkinは自信があり、責任感が強く、自分の意見をしっかり持っている選手です。プライドもあり、結果のために努力を惜しまない選手です。彼らの好みや考え、必要だと思っていることを聞けたのは、とても助かりました。意見がぶつかることもありましたが、それも『何が問題か、どう解決するか』を見つけるための意味のある議論でした。」

「完璧ではないものの、本当のプロフェッショナルですし、一緒に仕事がしやすい人たちです。たしか、2人ともスポーツの経験があり、規律を守ることに慣れていて、最後まで戦い抜く力を持っていました。」

VCT 2022 Japanから、VCJ 2024 Split 2まで日本で活動していたFadezisは、日本の競技シーンの内情を深く理解しています。その中でも特に感じているのが、「バブル」とも呼べる快適すぎる環境が選手の向上心を削いでいるという問題を指摘しました。

「VCJはTier 2の中で最高の環境です。視聴者数、ファン、スポンサー、資金、制作、大規模オフライン大会、どれもすごいの一言です。ただ、この『快適さ』が逆に成長を妨げている面もあります。高い給料、熱狂的なファン、結果を求めない雰囲気。このせいで『もっと上を目指す』という気持ちが生まれにくくなっているのです。」

「VALORANTという新しいFPS市場に多くのチームが参入したことで、『プロになる基準』が下がっていました。レディアントになるか、時にはそれ以下でも契約できてしまう状況です。競争自体が少ないため、良い選手は高額契約を結ばれ、スター扱いされています。」

「寝不足で練習に来たり、ルーティンを飛ばしたり、スクリム中に発言しなかったり、覚えたラインナップを忘れたり、指示されないと何もしない選手もいます。ただ給料をもらいに来てるだけです。情熱や向上心が感じられません。選手にペナルティや減給を科そうとしても、別のチームが同じ条件で迎え入れてしまいますので、チーム側が弱腰にならざるを得ませんでした。甘い環境がそのまま続いてしまうのです。」

「本来、競技シーンとは『情熱』と『自分が一番だと証明したい気持ち』から始まるものです。最初は給料なんて出ないのが当たり前です。『もっと時間があれば自分は一番になれる』と思いながら頑張るのが、自然な成長の道です。しかし、日本はそのフェーズを飛ばしてしまいました。結果として、才能のある選手同士が自然に集まるような環境が生まれていません。」

「ZETA DIVISIONやCrazy Raccoon以外で大型国際大会に出場できたのは、NORTHEPTIONだけです。そのチャンスもかなり限られています。多くの選手が長期かつ高額の契約で、身動きが取れない状態になっています。エージェントもないため、契約内容すら把握していないことも多いです。中には『チームを抜けた後2年間VCJに出られない』という契約を結ばされていた例もあるのです。」

「この3年間、Tier 2からTier 1へシーズン中に昇格した例は一つもありません。それだけシステムが閉鎖的になっています。ファンも変化を嫌う傾向にあり、選手交代などに否定的です。そのせいで競争のプレッシャーがなくなってしまい、選手は成長しようとしなくなるんです。」

「日本のお隣の国である韓国は、視聴者数や高給を支払えるチームは少ないですが、選手たちは本気で競争しています。契約期間も長くはなく、非プロフェッショナルな行動をすれば実際に選手が交代させられることもあります。海外移籍も当たり前で、言語を学び、必死にチャンスを掴もうとしています。」

「彼らは自分を限界まで追い込む覚悟があります。ただプレイし、勝利するためにです。韓国の選手たちは本気で取り組んでおり、自らの可能性を制限していません。すでに韓国の選手たちは、北米、日本、中国、インド、東南アジアと、さまざまな地域で活躍しています。日本では最初から快適すぎて、『試練を通して成長する機会』がありませんでした。」

「日本の選手たちは、不快な状況に直面することもなく、人間性を鍛えられることもなく、勝利のためにどこまで自分を追い込めるか、本気で試される機会もありませんでした。日本で非常に早い段階で構築された手厚く快適な環境は、諸刃の剣なのです。苦難を乗り越えて成長するという文化が育っていません。このバブルが弾けたとき、本当にプロ意識があって、勝つために努力できる選手だけが生き残るでしょう。」

「しかし、このシーンが主にエンターテインメントとして扱われ、非プロフェッショナルな態度が見過ごされ、選手の弱点が外国人選手で補われている限り、ハングリー精神旺盛な外国人選手がやってきて、恵まれた環境を最大限に活用し、成長していくリーグのままであり続けるでしょう。」

「ベテラン選手や国際経験のある選手をもっとチームに迎えることで、良い影響は出てくると思います。ただ、現実としては、多くの選手が競技を諦めてストリーマーに転向しています。視聴率が高い日本では、配信で稼ぐ方が楽なのです。」

「しかし、シーンを成長させるには、経験を持った人間が次世代を導く必要があります。プレッシャーにどう向き合うか、どんなミスをしたのか、どう改善できるかを教えられるコーチやIGLが必要なのです。コーチの多くは、自分が現役時代に満足できなかった元選手だったりします。彼らには知識と経験があります。そうした人材がシーンを支えているのは非常に重要なことであり、もっと増えていくべきだと思います。」

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